【文明の成熟期】

  福澤諭吉は1875年(明治8年)、文明論之概略に、「人はすべからく文明を目的とする」と書きました。人は、読み書き脳回路の可塑性により、着々と分身機械を発明してきました。加えて、その速度が随分と速くなりました。Society5.0から6.0までの期間は数年の文明の成熟期です。今までは、コレラやペストなどのウイルスによる相互作用にワクチンや投薬で対処してきましたが、これからは、文明の進化を利用して、ウイルスが体内に入らないようにテレワークなどのようなに距離(ディスタンス)を置くことが考えられています。

大阪万博後の2030年を中心として、サイバー空間とフィジカル空間が融合します。図表3のサイバー・フィジカル融合空間からも分かるように、2030年頃には、「サイバー・フィジカル融合空間」の利用が増加します。メタバースな世界を誘導する機器の販売が進みます。

私たちの自助生活

 私たちは文明という環境の中で生活しています。そして、私たちの生活には、機械化という大きな流れがあり、機械を操舵して生活しています。また、機械化により、従来製品は簡単・安価になり、賃金率・限界費用は低下します。そのために、衣食住職の安定化のために、自助生活を考えなければならない部分があります。 

人口の減少

 機械化社会においては、機構の自動化により賃金率が低下して、所得が減少するので、次の図のように、ジュニア人口(0歳~4歳人口)が減少します。

 

 また、人口は文明により制御されます。例えば、江戸時代・享保の改革の頃には、農耕文明が穀物生産で頭打ちとなり、人口は一定に保たれました。次に明治維新の頃には、工業文明が車社会などで活発になり、人口は増大しました。そして、平成になって、情報文明が機械化などで賃金率が低下したので、人口は減少に転じています。

空き家問題

 その結果、ジュニア人口の減少により、地方部では農地付き空き家が発生して、限界集落が増えます。そこで、都市部と地方部の二住生活型を利用する、農地付き空き家の利用が自助生活の一つとして考えられます。 

 

二住生活型太陽光発電プラント

 農地付き空き家の利用においては、太陽光が豊富にあるので、エネルギー的には、二住生活型太陽光発電プラントを考えれば良いことになります。太陽光の利用できる場所を拠点に、作業をするニ住生活が自助生活の基本機構となります。

 

テレワークによる生活

 機械化が進行する社会では、作業がテレワーク化し、Society5.0の社会では、コンピュータやインターネットの発達により、人の作業には、遠隔作業(テレプレイ)が多くなります。

 

必要な機械

  従来、文明は、狩猟、農耕、工業、情報、及びデータ駆動というような進化を遂げています。ここには、弓矢、牛犂、車、コンピュータというという分身操舵機械の系譜があります。従って、私たちの生活はデータ駆動型社会になるので、作業もインターネット機械というべきデータ操舵になります。

 データ操舵するために、作業の効率性や関節障害に対して、サイボーグという器官代替技術が期待されます。これは内骨格と外骨格に対する器官代替技術です。内骨格サイボーグは人工骨、iPS細胞、及びゲノム編集などによる器官代替ですが、外骨格サイボーグは動作の拡大や縮小を行う器官代替です。そして、外骨格サイボーグの場合には、作業介助服(外骨格装置、テレプレイヤー)が必要になります。

 

テレプレイに必要な作業介助服

 作業介助服には、聴覚、視覚、及び触覚の処理が求められますが、幸いにも、現在では聴覚と視覚に関しては、電話(テレホン)と画像(テレビジョン)という熟した技術があります。そのために触覚技術の開発が進んでいます。技術としては夜明け前という状態です。この技術には、作業介助服が適しています。これに外骨格サイボーグの機能を持たせれば良いのです。